2008-09-01 防災の日

▼東京の下町谷中には広い墓地がある。昨年亡くなった日本文学研究者のエドワード・サイデンステッカーさんはその散策を好んだ。散策するうち、あることに気づく。〈大正十二年九月一日と昭和二十年三月十日に死んだ人々の墓がいかに多いか〉と、随筆集『谷中、花と墓地』(みすず書房)に書き残 している
下町     したまち
谷中     やなか
墓地     ぼち
散策     さんさく
気づく    きづく
如何に   いかに   程度などについて推量する気持ちを表す。
書き残す  書いてあとに残す。


前者関東大震災後者東京大空襲なのは言うまでもない。片や天災、片や戦災の違いはあるが、どちらも東京を包み壊滅的な被害をもたらした。その天災から85年経ち、きょうは「防災の日」である
前者       ぜんしゃ
後者       こうしゃ
天災       てんさい
戦災       せんさい
炎         ほのお
包む       つつむ
齎す       もたらす
防災       ぼうさい
壊滅的     かいめつてき
関東大震災   1923年9月1日11時58分32秒  神奈川県相模湾北西沖80km(北緯35.1度、東経139.5度)を震源として発生した海溝型の大地震(関東地震)による災害。東京都・神奈川県・千葉県・静岡県の南関東地方の広い範囲に甚大な被害をもたらした。
東京大空襲   東京は1944年11月14日以降に106回の空襲を受けたが「東京大空襲」と言った場合、特に規模が大きい1945年(昭和20年)3月10日に行われた空襲を指すことが多い。
  这个……难道不是他们自己招来的吗???

▼天災は忘れたころにやって来る、と戒めに言う。だが、このところの列島は、忘れる暇もないほどに、地震、竜巻、水害――と見舞われ通しの感がある。数日前も東海や関東が記録的豪雨襲われた
戒める    いましめる
竜巻     たつまき
見舞う    みまう
数日前   すうじつまえ
記録的   きろくてき  创记录的
豪雨     ごうう
襲う     おそう

当你忘的时候,天灾就来了——戒言如是说。

▼「何十年も住んでいるが、こんなのは初めて」と、被災した人はしばしば口にする。きのうまでの無事も、きょうの安全を保証してはくれない。自然はときに、想像を超える無慈悲我々むく
しばしば   しきりに瞬きをするさま
口にする   言葉に出して言う。
保証     ほしょう
時に     ときに    偶に
無慈悲    むじひ
牙       きば  犬齿
我々     われわれ
剥く      むく  皮・殻など表面・外側をおおっている物を取り去って中身を出す。
牙を剥く   敵意を露骨に表す

就算到昨天为止都安然无事,也不能保证今天能安全渡过。自然总是时不时地,向我们张开超乎想像地冷酷无情的獠牙。

▼世界でも、中国四川省の大地震、ミャンマーサイクロンと大災害が相次いだそのせいもあってか、本紙の読者アンケートでは、いつになく防災意識が高まっている。「他人事ではない」が、昨今のキーワードらしい
ミャンマー  Myanma   缅甸
サイクロン  cyclone  熱帯低気圧のうちインド洋北部・インド洋南部・太平洋南部で発生するものである
相次ぐ    あいつぐ  物事があとからあとから続いて起こる。
他人事    ひとごと
何時にない いつもと違っている。普段のようではない。
是由于这个原因吧,在本报的读者问卷调查中,一反常态地防灾意思正在得到提高。

▼関東大震災の後には、「この際だから」が流行語になったという。諸事見直したり、改めたりする枕詞のように語られたそうだ。夏が過ぎ、台風の季節はもって本番。この際だから、身近な防災策を見直して、万が一に備えるとする。
この際だから     趁此时机
諸事          しょじ
見直す         みなおす
改める         あらためる
枕詞          まくらことば  开场白
もって         事の行われる時を示す。
身近          みぢか
万が一        まんがいち
据说关东大震灾后,“因为这个时候”成了流行语。据说经常用于“重审诸事,改变(不良)”时的开场白。