2008-09-27 自笑平生为口忙

▼中国の宋代の大詩人、蘇軾は政治家でもあった。直言災いしてか、たびたび遠方流されたりした。詩の一節に「自ら笑う、平生、口の為になるを」と記している。「口がもとで数々の面倒を起こしたのが自分でもおかしい」という意味だと、中国文学の井波律子さんの著書に教わった
蘇軾    そしょく
直言    ちょくげん
癖      くせ
災いする  わざわいする
度度    たびたび
遠方    えんぽう
流す    ながす
平生    へいぜい
忙     ぼう
記する   きする
数々    かずかず
著書    ちょしょ
教わる   おそわる
井波律子 いなみ・りつこ

自笑平生为口忙,老来事业转荒唐

▼わが政界にも「口のために忙」な面々が目立っている。直言ならまだしも失言だから情けない一昨日は、就任したばかりの中山国交相が記者会見で「3連発」を放った
まだしも  勉强说得过去
失言    しつげん
情けない なさけない
一昨日  いっさくじつ
国交相  こっこうしょう
三連発  さんれんぱつ
放つ    はなつ


成田空港の整備の遅れには「ごね得というか戦後教育が悪かった」。観光について「日本は内向き単一民族」。さらには「日教組の子どもは成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」。言いたい放題の感がある
成田    なりた
整備    せいび
ごね得   ごねどく
内向き   うちむき
内向的   ないこうてき
単一    たんいつ


▼人生いろいろだが、失言にもいろいろある。リップサービスが過ぎた程度から、不適切な例え、軽率、勉強不足。だが今回のは日ごろの考えが噴き出してきたものだろう。は深い
リップサービス   lip server  门面话,漂亮话,奉承话
軽率         けいそつ
日頃         ひごろ    平时
噴出す       ふきだす
根          ね


それにしてもと思う。国会論戦などの肝心なメッセージはさっぱり胸に届かず、失言や放言、漫談まがいばかり記憶に残る。これは政治家の劣化か。それとも政治に娯楽を見いだした我々が、まじめな言葉には打てども響かなくなっているのか
それにしても  即使那样
論戦       ろんせん
肝心       かんじん
さっぱり     さっぱり
胸に届かず  没让人明白
放言       ほうげん
まがい
劣化      れっか
見出す     みいだす  見つけ出す、発見する


おりしも、その「政治劇場」の支配人だった小泉元首相が政界引退を表明した。こちらも「自民党をぶっ壊す」に始まり、良くも悪くも「口のために忙」な人だった。小泉流には毀誉褒貶が入り交じるが、資質さえ疑われる中山流は「誉」と「褒」から程遠い。
折りしも  おりしも   ちょうどその時。
毀誉褒貶    きよほうへん