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天声人語

巴勒斯坦 パレスチナ   (ラテン)Palestina
以色列  イスラエル   Israel 《ヘブライ語で、神が支配する意》
犹太   ユダヤ      (ラテン)Judaea
纳粹    ナチス     (ドイツ)Nazis

草分け】 くさわけ
  ある物事を初めて行うこと。また、その人。創始者。
  「電子工業界の草分け
  「広河隆一さんはその草分けだ


無機的】 むきてき
  [形動]生命力の感じられないさま。
  「電光掲示板の無機的な文字
  「人間の命の温みを前に、その響きはあまりにも無機的だ

身勝手】 みがって
  [名・形動]他人のことを考えず、自分の都合や利益だけを考えて行動すること。また、そのさまや、そのような態度、わがまま。
  「身勝手な言い分
  「身勝手に行動する

戦く慄く】 おののく
  恐ろしさ・寒さ・興奮などのために、体や手足が震える。わななく。
  「恐怖に慄く
  「期待におののく

安堵】 あんど
1 気がかりなことが除かれ、安心すること
  「安堵の胸をなでおろす
  「無事を聞いて安堵した
  「安堵を取り戻させる停戦へ、一刻の猶予も許されない
2 垣根の内の土地で安心して生活すること。また、その場所。
3 中世、土地の所有権・領有権・知行権などを幕府・領主が公認したこと。

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天声人语

世が乱れると、まるで天に意思があるかのように英雄や偉人が輩出する。
英雄のいない時代は不幸だが、英雄を必要とする時代はもっと不幸だ。
奴隷解放を宣言し、南北戦争の試練と国家分断の危機を乗り越え、戦争が終わるや暗殺されて天に召された。
新しい年に、氏のかざす松明が赤々と燃えるのか、それともくすぶってしまうのか、世界中が目を凝らす。
「天に意思がないのか」と溜め息をつくなかれ。
何となく、今年はよい事あるごとし。元日の朝晴れて風無し。
心機一転への思いもひとしおの初春。



言い当てる
  推量して言ったことが的中する。
  说中、猜中、猜着
  「相手の気持ちを言い当てる
  「うまく言い当てる恰好猜中
  「答えを言い当てた说对了答案

宣言
  個人・団体・国家などが、意見・方針などを外部に表明すること。また、その内容。
  宣言;宣布、宣告
  「宣言書
  「世界人権宣言世界人权宣言
  「ポツダム宣言波茨坦公告
  「開会を宣言する宣布开会
  「宣言を発する发表宣言
  「禁煙を宣言する公开宣布今后戒烟
  「世界中に国家の独立を宣言する向国内外宣告国家独立

天に召された
  蒙主荣召

揺るぎ無い】 ゆるぎない
  動揺がない。確固としている。
  毫不动摇、牢不可破、稳固
  「揺るぎ無い自信
  「支持基盤を揺るぎ無いものとする

誓いを立てる
  起誓

肖る】 あやかる
  影響を受けて同様の状態になる。感化されてそれと同じようになる。ふつう、よい状態になりたい意に用いられる。
  相似、效仿、跟着沾光
  「彼の幸運に肖りたい
  「君に肖りたいものだね我真羡慕你(那样幸福啊)呀!
  「彼に肖って字がうまくなりたい我愿意像他那样能写一笔好字

翳す】 かざす
  頭上や顔のあたりに手や物などをさしかけて光をさえぎる。
  举起照亮;遮上光、罩个阴影
  「手紙を電灯にかざして読む把信举到灯光下读
  「扇を額に翳す用扇子罩在额头
  「小手をかざして眺める手搭凉棚眺望

それとも
  あるいは。または。もしくは。
  还是……
  「コーヒーか、それとも紅茶か咖啡,还是红茶?
  「電車で行きますか、それともバスで行きますか是坐电车去,还是坐公共汽车去呢?
  「今日にするかそれとも明日にするか、決めてください到底是今天还是明天,你决定吧。

燻る】 くすぶる
  よく燃えないで煙が出る。くすぶる。
1 冒烟
  「火事場がまだ燻っている火灾现场还在冒烟
2 烟熏、熏黑
  「天井が燻って真っ黒だ顶棚熏得漆黑
3 闷居、闲居
  「家に燻っている闷居在家
4 久不提升、久不晋级
  「相変わらず大部屋で燻っている仍然还是个跑龙套的演员
5 拖延不决、纠缠不休
  「両国間で長い間燻っている問題两国间长期纠缠不休的问题
  「部下の間に不満が燻っている部下们都是满肚子牢骚

目を凝らす】 め・を・こらす
  じっと見つめる。
  目不转睛地看
  「暗闇で目を凝らす

翻る】 ひるがえる
1 反対の面が出る。さっと裏返しになる。
  「裾が翻る
2 態度・説などが、急に変わって反対になる。
  「評決が翻る
  「最後の最後になって決定が翻った到了最后的最后改变了决定
  「途中から態度が翻った中途改变了态度
3 風になびいて揺れ動く。ひらめく。
  「鯉幟が翻る
  「川面に銀鱗が翻っている河面银色鳞波翻动

見渡す】 みわたす
  遠くまで広く眺める。広い範囲にわたって見る。
  放眼望去、瞭望、远望、张望
  「丘の上から全市を見渡す
  「見渡す限りの人の波一望无际的人海
  「集まった聴衆を見渡す环视一周到场的听众
  「全体を見渡した上で決める通盘看了之后再决定

どうも
1 怎么也
  「どうも見つからない怎么也找不到
  「どうもうまく説明できない怎么也说不清楚
  「何回もやってみたが、どうも思うようにいかない搞了好多次,怎么也不理想
2 实在、真
  「どうも困った真不好办
  「どうも数学が難しい数学实在难
3 总觉得、似乎、好像
  「明日はどうも雨らしい明天似乎要下雨
  「体の調子がどうも変だ总觉得身体情况不大对头
  「どうも見たことのある人だと思った总觉得那人好像在哪里见过
4 很、实在
  「どうもご苦労様
  「どうもありがとう
  「どうもすみません
  「や、どうも
  「このあいだはどうも

見当たる】 みあたる
  さがしていたものが見つかる。
  「どこをさがしても見当たらない
  「時計が見当たらない表不见了
  「本が見当たらなかった书没有找到
  「この道路には標識がひとつも見当たらない这条道路看不见一个路标

溜め息】 ためいき
  気苦労や失望などから、また、感動したときや緊張がとけたときに、思わず出る大きな吐息。
  「溜め息が出るほど残念だ
  「溜め息をつく唉声叹气
  「彼女は溜め息をついて悲しみを表した她叹了一口气,露出悲伤(的神色))

勿れ・莫れ】 なかれ
  禁止の意を表す。してはいけない。するな。
  「驚くなかれ莫惊
  「待つことなかれ莫等
  「疑うことなかれ莫怀疑
  「その首相は驚くなかれ3ヶ月と持たなかった别吃惊,那位首相连三个月也干不了

分け目】 わけめ
1 物を分けた境の所。
  「髪の分け目をまっすぐにする把头发分得笔直
2 物事がどちらに決定するかの境目。わかれめ。
  「成否の分け目に差し掛かる(成败在此一举)
  「天下分け目の合戦决定成败的战役、生死之战

嘆く】 なげく
  悲叹、哀叹、叹惋、慨叹
  「毎日を嘆き暮らす终日叹息
  「不幸な身の上を嘆く悲叹不幸的身世
  「殺伐とした世の風潮を嘆く慨叹荒乱不稳的社会风气
  「嘆いてばかりいても仕方がない光叹息也没用

何となく
  言動などに、はっきりとした理由・目的がないさま。なんとはなしに。
1 (不知为什么)总觉得、不由得
  「何となく心が引かれる
  「何となく日々を送る
  「何となく近づきにくい人总觉得有点不易接近的人
  「何となくいい事がありそうな気がする总觉得好像有好事
  「今日はなんとなく気分が重い今天总觉得心情不好
  「何となく虫が好かない总觉得合不来
2 无意中
  「何となく大学まで来てしまった无意中来到了大学
  「人生の目的を定めず、毎日ただ何となく過ごす未决定人生的目的,每天只是无聊地度过

心機一転
  何かをきっかけにして、気持ちがすっかり変わること。
  精神焕然一新、心情一变、心机一转
  「彼は心機一転仕事に励むようになった他精神焕然一新开始努力工作了
  「彼は心機一転して酒もタバコもぷっつりやめた他回心转意一下子戒了烟酒

一入】 ひとしお
  ほかの場合より程度が一段と増すこと。多く副詞的に用いる。いっそう。ひときわ。
  更加、格外
  「苦戦の末の優勝だけに喜びも一入だ
  「懐しさが一入つのる
  「一入興を添える更添一分兴味
  「感激も一入だ格外激动(高兴)
  「雨の中の紅葉はひとしお美しい雨中红叶分外美丽

研ぎ澄ます】 とぎすます
1 刃物をよくといで切れるようにする。また、鏡をよくみがいて曇りのないようにする。
  磨快(刀等);磨光/擦亮(镜子等)
  「研ぎ澄ました日本刀磨得飞快的日本刀
2 心の働きを鋭くする。
  敏锐
  「研ぎ澄まされた感覚
  「研ぎ澄まされた神経敏锐的神经

ぐいと
1 (轻快地)使劲
  「ぐいと押す使劲推
  「警官は男の腕をぐいとねじ上げた警察用力扭住男人的手臂
2 大口地(喝)、咕嘟地
  「杯を取ってぐいと飲み干す拿起杯子咕嘟一口喝干

引き寄せる
1 引っ張って近くに寄せる。
  拉到近旁
  「いすを引き寄せる
  「ぐいと力を入れてこちら側に引き寄せる使劲儿拉过来
  「灰皿を手元に引き寄せる把烟灰缸拉到手边
2 そのものの方へ寄るようにする。ひきつける。
  吸引
  「人の心を引き寄せる
  「彼女の話に引き寄せられた被她的话吸引

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2008-10-31

▼26年ぶりの株安と、いきなり円高きしむ秋。景気に遠慮して解散は遠のき、お国の「埋蔵金」から総額2兆円があまねく配られるという。巨富を持たない平穏と心細さを、天秤にかける。お金の話に明け暮れた10月の言葉から
株安 かぶやす
円高 えんだか
軋む きしむ   物と物とがすれ合って、きしきし、みしみしなどと音を立てる。 
遠退く とおのく 遠くに離れる。遠ざかる。
普く・遍く あまねく もれなくすべてに及んでいるさま。広く。一般に。
巨富  きょふ
平穏  へいおん
心細い こころぼそい
天秤  てんびん
明け暮れる 夜が明け、日が暮れる。月日が過ぎる。1日1日が過ぎ去る。


▼米国などの金融支援を一喝したのはブラジルのルラ大統領。「アメリカの確実な経済とやらはどこへ行った。利益を独り占めしていた国々が、金持ちの損失を社会主義的に分かち合おうなんて」
一喝     いっかつ  ひと声、大声でしかりつけること。
とやら    (連語) はっきりと示さずぼかして言うときに用いる語。とか。
独り占める ひとりじめる
分かち合う わかちあう 互いに分ける。分け合う。


▼京大院に留学中のマコネン・アレマイヨさん(31)。母国エチオピアからのドル建て送金が円高目減りした。「急に物価が高くなったように感じてしまう。コーヒーを飲む回数を減らしたりして、ちょっと憂うつ
母国      ぼこく
エチオピア  埃塞俄比亚
ドル建て   債権・債務の関係をドル貨に換算した金額で表示すること。
目減り    めべり   物の実質的な価値が低下すること。
憂鬱     ゆううつ

▼参院審議でカップめんの値段を問われた麻生首相。「最初に日清が出した時、えらい安いなあと思ったが、あの時何十円か。いま400円くらいします?」。そんなもの知らなくても首相は務まれど、格差対策にこもるまい
魂   たましい
篭る  こもる

▼福島市であった就職合同面接会。「接客業に就きたいが、求人は前年の半分と聞いた。本当に運が悪くて、泣きそう」と高3男子。内定取り消しの大学生は怒りのやり場もなかろう
接客業 せっきゃくぎょう
やり場  やりば


▼ノーベル経済学賞に決まった米プリンストン大学のポール・クルーグマン教授(55)。「生きている間に、世界恐慌類似する事態に直面するとは思ってもみなかった」
恐慌 きょうこう
類似 るいじ

▼兆の字が躍る紙面を見るにつけ、身の丈に合った幸せを考える。暗算で加減できる程度の身銭と、旬の味覚があればよし。〈算盤の玉のごとく吊し柿〉高島征夫
躍る おどる
身の丈  みのたけ  せいの高さ。身長。背丈。
身銭   みぜに    自分の金。自分の個人的な金銭。

算盤   そろばん
如く    ごとく
吊るし柿 つるしかき 渋柿の皮をむき、ひもや縄につるして干し、甘くしたもの。つりがき。

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2008-10-24

▼まとめて産婦人科というが、産科と婦人科の空気はかなり違うらしい。祝福と闘病、病院によっては二つが同居する。禅僧から医師になった対本宗訓さんが、臨床実習での体感を近著に記している。「まさに生老病死が混在して、双方とまどいもあるのではないかと傍目に思うことがある」(『僧医として生きる』春秋社)
産婦人科 さんふじんか
産科    さんか
婦人科  ふじんか
祝福    しゅくふく
闘病    とうびょう
同居    どうきょ
禅僧    ぜんそう
対本宗訓 つしもと・そうくん
臨床実習 りんしょう・じっしゅう
体感    たいかん
近著    きんちょ
生老病死 しょうろうびょうし
混在    こんざい
双方    そうほう
傍目    はため


▼同じ苦しみでも、お産は「生」の営みだ。ところが産科医不足のために、痛くもうれしいその瞬間が昔とは別の意味で「命がけ」になりつつある。大東京の真ん中でも、と嘆息する
苦しみ  くるしみ
営み   いとなみ
産科医 さんか・い
不足   ふそく
瞬間   しゅんかん
嘆息   たんそく


▼脳内出血の妊婦(36)が八つの病院に受け入れを拒まれ、亡くなった。最初に断った都立病院は、妊婦に緊急対応できる施設に指定されている。なのに産科医は定員に満たず、週末の当直は1人態勢だった
脳内出血    のうない・しゅっけつ
妊婦     にんぷ
八つ     やっつ
拒む     こばむ
断る     ことわる
緊急対応  きんきゅう・たいおう
満つ     みつ
当直     とうちょく
態勢     たいせい


▼満床などを理由に拒否した他院も有名どころだ。首都の夜、女性を守るべき駆け込み寺が、豪壮な門を閉ざして並ぶ図が浮かぶ。寺の担い手が足りなくては話にならない。医学生が産科を敬遠するのは、きつい勤務と訴訟リスクゆえと聞く。ストレスの中では祝福も色あせよう
満床   まんしょう
拒否   きょひ
豪壮   ごうそう
担う   になう
敬遠   けいえん
訴訟   そしょう


▼僧医の対本さんは「僧侶は広く『いのち』を説き、医師は個々の『命』を扱う。どの生命も大きないのち、つまり縦横無尽のネットワークの中で生かされているのです」と語る。「いのち」が表す支え合いの輪が、いま危ない
僧医     そうい
僧侶     そうりょ
縦横無尽  じゅうおうむじん
支え合い  ささえあい


▼無事だという赤ちゃんは後年、生を賭した母に何を思うのか。小さな命を送り出し、一つの命が消えた。どちらの命も、救急医療体制の存在理由、いのちを問うている。
後年     こうねん
救急医療体制   きゅうきゅう・いりょう・たいせい

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2008-10-12

▼芸術の秋に、ひろしま美術館所蔵するゴッホの「ドービニーの庭」を拝見した。自殺する直前の作品だが暗さはない。横長のカンバスに夏の庭が美しく広がっている。だが、この絵には長く「」があった
ひろしま美術館  人家就写“ひろしま美術館”,不写“広島美術館”
所蔵        しょぞう
ゴッホ       Vincent van Gogh
ドービニーの庭  Daubigny's Garden
暗さ        くらさ
横長       よこなが
謎         なぞ


▼まず、同じ題の付いた、ほぼ同じ絵が2枚ある。その片方、スイスの美術館にある絵には庭を歩く黒猫が描かれている。ところが広島の絵には猫がいない。もともといなかったのか。塗りつぶされたのか。だとしたらなぜ――。黒猫のゆえか、自殺の真相などとも絡んで論争になってきた
片方    かたほう
黒猫    こくねこ
元々    もともと    はじめから。もとから。
塗り潰す ぬりつぶす  物事を覆いつくす。
故     ゆえ
真相    しんそう
絡む    からむ
 

▼その猫が、絵の具の下から見つかったと、先ごろ報じられた。X線で解析すると、スイスの絵と同じ位置に描かれた猫に、上塗りがされていたそうだ。黒猫を不吉に思ったのか、ゴッホの死後に第三者が手を加えていたらしい
解析     かいせき
上塗り    うわぬり  1.抹上最后一层 2.加重一层(同样的东西)
不吉     ふきつ
手を加える  手を入れる。直したり補ったりする。加工修改。


▼米国の作家ポーの小説「黒猫」を思い出す。こちらは残酷にも、飼い主に、絵の具ならぬ壁の中に塗り込められてしまう。そういえばポーもゴッホも、破滅型の人生を送った点で相通じている
ポー    Edgar Allan Poe
残酷    ざんこく
飼い主   かいぬし
ならぬ    …でない。「一方ならぬご指導」「ただならぬ事態」 
塗り込む  ぬりこむ
破滅型   はめつがた
相通じる  あいつうじる


▼ひろしま美術館は3年をかけて絵を調べ上げたそうだ。ナチの時代に「退廃芸術」の烙印を押されたが、米国に逃れきわどく助かったという。そして、絵の具の下ながら黒猫も生き延びてきた
調べ上げる   しらべあげる    徹底的に調べる。最後まで調べる。
ナチ
退廃芸術    たいはい・げいじゅつ
烙印       らくいん
逃れる      のがれる 
際疾い      きわどい   悪い事態になりそうな、すれすれの状態である。
助かる      たすかる   死や危険な状態から免れる。
生き延びる   死ぬはずのところを助かって命を長らえる。長生きする。


▼本物の横に、元の絵を再現したCGも展示されていた。1世紀ぶりに姿を見せた黒猫は、長い尻尾を引いて、澄ました足取り芝生横切っている。1枚の絵に誕生と来し方がある。静かな秋の日、耳を傾ければ、どの絵もとっておきの物語を聞かせてくれることだろう。
尻尾          しっぽ
澄ました足取り   すました・あしどり
芝生         しばふ   芝が一面に生えている所。また、庭などで芝が植えてある所。 草坪
横切る        よこぎる  横の方向に通りすぎる。一方の側から他方の側へ渡る。横断する。
来し方        こしかた  来时路(时间上、空间上)
傾ける        かたむける 力や注意などをいちずにその方へ向ける。心をある物事に集中させる。
取って置き     とっておき  いざという時のために、大切にしまっておくこと。珍藏、秘藏

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2008-10-10

▼歌舞伎役者のように虚空にらんで緒形拳さんは静かにを引き取ったそうだ。臨終立ち会った津川雅彦さんは、その時を「おれもあんな死に方をしたいと思うほど格好いい最期だった」とまとめた
虚空   こくう
睨む   にらむ  瞪着 、 怒视
息     いき
臨終    りんじゅう
立ち会う たちあう   物事の成り行きや結果を見守るため、その場にいる。証人・参考人などとしてその場に臨む。
死に方  しにかた
最期   さいご     临终
緒形拳  おがた・けん
津川雅彦 つがわ・まさひこ
虚空を睨む  两眼瞪着空中
息を引き取る 息が絶える。死ぬ。  这是一种固定说法


危篤と聞いて病院に駆けつけると、71歳の名優は一度ベッドに座り直したという。ひとしきり仕事の話をし、「治ったらウナギ食いに行こうな。白焼きをな」。この誘い、津川さんの激励ではなく、緒形さんの言葉というから驚く。淡いユーモアがにじむ、骨太である 
危篤   きとく          病気が非常に重くて、今にも死にそうなこと。
駆けつける  かけつける    匆忙赶到
座り直す    すわりなおす
一頻り     ひとしきり       しばらくの間。その間に物事が集中するようすにいう。いっとき。ひとっきり。 一阵、一会儿
鰻        うなぎ
白焼き     しらやき    (不加佐料)干烤(鱼) 
白焼きの鰻
誘い      さそい
激励      げきれい
淡い      あわい
ユーモア   humor
滲む      にじむ
骨太      ほねぶと    骨が太いこと。骨格のがっしりしていること。また、そのさま。 骨头大、骨格结实
幕       まく              「幕を下ろす」意から  物事の終わり。

这不回光返照么?
省略句:
白焼きを食いに行こう
这里的骨太应该是指坚强的不被死亡打败的精神吧
渗透着淡淡的幽默,一个坚强的终结。用一种睥睨死亡的态度给自己的一生画上句号。


▼照れ、愁い狂気。どれも一流だったが、影をまとうほど輝きは増した。「楢山節考」で背負われ、山に捨てられる老母を演じた坂本スミ子さんは「演技でこなさず、役になりきるすごみを感じた。心では今も親子のままです」と語る
愁い   うれい 
狂気   きょうき   気が狂っていること。また、異常をきたした精神状態。 疯狂
纏う     まとう   身につける。着る。 
楢山節考  ならやま・ぶし・こう
背負う    せおう   肩负、担当
老母     ろうぼ
こなす    很上手、很熟练、很精通  うまく…する。
成り切る   なりきる   すっかりそのものになる。 完全变成了……
親子     おやこ

那不是演技,而是全身心地投入到了角色当中,简直令人惊异。现在仍然从心底觉得是母子一般。

肝臓がんのことは、家族限りとしていた。遺作のテレビドラマ「風のガーデン」の撮影では、玄米食で半年の長丁場耐えた。倉本聰さんの脚本は命を正面から描く。訪問医役の緒形さんには死を語る台詞も多い。万感を込めたであろう仕事を結び、制作発表の5日後に逝った
肝臓がん   かんぞうがん
遺作      いさく
ガーデン   garden
撮影      さつえい
玄米食    げんまいしょく
長丁場    ながちょうば   一つの事柄が一段落するまでに長くかかること。
耐える    たえる
訪問医   上门问诊的医生
万感     ばんかん
制作     せいさく
発表     はっぴょう
逝く      いく
肝癌的事,只有家里人知道
撮影で    拍摄的时候


あったかい味の書をたしなんだ絵手紙交わした東京都狛江市の小池邦夫さん(67)のもとには、「でくのぼう」と朱書きした賀状がある。別の一葉には「牛はのろのろとあるく」
暖かい   あったかい
嗜む     たしなむ
絵手紙   えてがみ
交わす   かわす      交换
狛江市    こまえし
小池邦夫  こいけ・くにお   邦差不多就是国的意思,所以邦的发音也是くに
木偶の坊  でくのぼう     役に立たない人。気のきかない人。人のいいなりになっている人。
朱書き    しゅがき     朱で書くこと。
賀状     がじょう
一葉     いちよう      葉是扁平的小东西的量词
のろのろ             動きがにぶく、ゆっくりしているさま。 慢吞吞地

这是绪形给小池的賀状上的形容自己的话吧

▼そんな墨跡の通り、武骨に、ゆっくりと大きく、役者道を全うした。坂本さんの感慨寄り添えば、演じた役のすべてが本物の緒形拳である。最後はあの白髪で、優しげな背中で、秋の夕景の一部になりきった。
墨跡     ぼくせき
武骨     ぶこつ
全うする   まっとうする   完全に果たす。完全に終わらせる。
感慨     かんがい
寄り添う   よりそう    もたれかかるように、そばへ寄る。  靠近、贴近、挨近
白髪     しらが
夕景     ゆうけい


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2008-10-03

▼長渕剛さんの名曲「とんぼ」は都会への憧れと挫折を歌う。〈死にたいくらいに憧れた東京のバカヤローが/知らん顔して黙ったまま突っ立ってる〉。花の都に寄せる片思いは多くが裏切られ、意のままにならぬことばかり。でも無様に、武骨に生きてゆく


▼長渕さんと、スタンドを埋めた3万人の大合唱に送られ、オリックスの清原和博選手が引退した。華あり、涙あり。23年の現役生活を、「東京のバカヤロー」ではなく故郷大阪で終えた

▼最終戦の相手、ソフトバンクの王監督がかけた言葉は「生まれ変わったら、同じチームでホームラン競争をしよう」。85年のドラフト。王さんが指揮する巨人軍の指名を信じて裏切られた男を、言葉で抱きしめた。同じシーズンにユニホームを脱ぐのも何かの縁だろう

▼525本の本塁打を重ねながら「無冠」に終わった。最後の打席は、自身の歴代最多を更新する1955個目の三振。直球を投げ続けた杉内投手に頭を下げた。タイトルより大切なものがあると教える、美しい空振りだった

▼ 「憧れの球団」に移ってからは故障に泣いた。投手がしつこく内角をえぐると、仁王立ちでにらみ返した。だが、そうした人間味や男気にひかれるファンもまた多かった。インタビューの受け答えにも、飾らない人柄がにじんでいた

▼日本のプロ野球は、大リーグへの人材流出で危機にある。清原選手のヒーロー伝説、あるいは反骨の物語を、ここで終わらせるのは惜しい気がする。どうにもならない不運を力にする生き方の、続きを見てみたい。

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2008-10-02 ビデオ店の火事

▼〈路上で寝るときは段ボールから顔を出しておくべし〉。本紙生活面に、男性ホームレスの「助言」が載った。その箱の中に生身の人間がいると知らせないと、通行人蹴られるのだという。いつの世も野宿はつらい

路上  ろじょう
段ボール  瓦楞纸板
べし     (終止形で)勧誘・命令の意を表す。…してはどうか。…せよ。
生身     なまみ   父母より生まれた身体。生まれながらの身体。
通行人   つうこうにん
蹴る     ける
野宿     のじゅく


夜更けから明け方の大都市は、ささやか屋根寝床を求める人であふれる。終電を逃した勤め人、歓楽街たむろする少年少女、帰るべき場所のない日雇い労働者もいよう。きのう煙に包まれたのも、そんな「宿」の一つだった
夜更け   よふけ     夜がふけたこと。また、その時分。深夜。
明け方   あけがた   夜の明けようとするころ。夜明け方。黎明。払暁。
笹屋か   ささやか    形や規模があまり大げさでなく、控えめなさま。
屋根    やね
寝床    ねどこ     寝るための床。寝るために敷かれた敷物・布団など。
溢れる   あふれる
歓楽街   かんらくがい
屯する   たむろする  一つ所に大ぜいの人が集まる。
日雇い   ひやとい
宿      やど


▼大阪の個室ビデオ店の火事で、男性客15人が亡くなり、放火や殺人の疑いで客の男が捕まった。1畳余りの個室が32。8割ほどが埋まっていたという。共用のシャワーがあり、1500円で一夜を明かせるとなれば、ホテル代わりの利用も多くなる
個室   こしつ
放火   ほうか
共用   きょうよう



漂泊俳人種田山頭火は〈泊るところがないどかりと暮れた〉と詠じた。こうした境地に、誰もがたどり着くわけではない。かくして雨露しのぐ+α」のサービスが繁盛する。より安く、より気持ちよく朝を迎えたいという需要が、眠らないネットカフェやマンガ喫茶を新手の宿に変えてきた
漂泊    ひょうはく
俳人    はいじん
種田山頭火  たねだ・さんとうか
詠じる     えいじる
境地      きょうち
辿り着く    たどりつく  尋ね求めながら、やっと目的地に行き着く。
斯して     かくして
雨露      あめつゆ
凌ぐ      しのぐ
繁盛      はんじょう
需要      じゅよう
ネットカフェ  网吧
新手      あらて


惨事のたびに防火や避難の規制は厳しくなるが、都市は生き物。色んな「屋根と寝床」が料金や快適さを競い、新しい夜を提案し続ける。「悪意」まで封じる防火策を店に求めるのはだろうか
惨事    さんじ
規制    きせい
生き物   いきもの
競い    きそい
悪意    あくい
封じる   ふうじる
酷     こく


▼「段ボールから顔を出す」ような用心要るのでは、お金を払う意味がない。とはいえ、利用者もせめて、逃げ道を確かめるなどの自衛策講じたい。すでに「どかりと暮れる」季節である。
用心    ようじん
要る    いる
責める   せめる
自衛策   じえいさく
講じる   こうじる

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2008-10-01

一説によると、きのうはある野球用語が米国で生まれた日とされる。1885年9月30日、シカゴ・ホワイトストッキングス(現カブス)の優勝を左右する試合。7回に打ち上げた平凡フライが風に乗り、決勝ホームランになった。「ラッキーセブン」の始まりだ
一説    いっせつ
左右    さゆう
平凡    へいぼん
フライ   fly  飛球
ホームラン home run 本垒打
ラッキーセブン lucky seven
シカゴ・ホワイトストッキングス Chicago white stocking 现称Chicago Cubs,略称CHC,アメリカMLB、ナショナルリーグ中地区所属のプロ野球チーム。


▼昨日の東京株式市場は前日のニューヨークでの暴落を受け、ラッキーどころか3年ぶりの安値に沈んだ。史上最大というNYの下げ幅は777ドル。スロットマシンなら「トリプルセブン」の大当たりだ。お金の神様も皮肉がきつい
暴落      ぼうらく
安値      やすね
下げ幅     さげはば
上げ幅     あげはが
スロットマシン slot machine 老虎机
トリプルセブン triple seven  三叠七、波音777
大当たり    予想などがぴたりと当たること
きつい     物事の程度は甚だしい
どころか    ある事柄を挙げ、それを否定することによって、あとの内容を強調する。

哪里是什么“幸运”,都跌到了时隔三年的最低值。NY跌幅达777美元,据称是史上最大跌幅。如果是老虎机的话可就是“777”的大奖了。财神爷也太讽刺了吧?

火元は金融安定化法案否決した米下院。政府と議会幹部の合意むなしく、有権者の怒りを恐れた議員が造反した。特に共和党は「7」割近くが反対に、ブッシュ大統領の面目はない。逆転ホームランになるはずの一打が、世論の風に戻されて凡飛球である
火元    ひもと
法案    ほうあん
否決    ひけつ
米下院   べいかいん
合意    ごうい  意见一致
空しい   むなしく
造反    ぞうはん
面目    めんぼく
逆転    がくてん
一打    いちだ
世論    せろん
凡飛球   ぼんひきゅう

布什总统的面子真是丢光了啊。应该是逆转形势的home run的这一打,让舆论之风一吹,成了飘球。

危ないもうけ話の果て米金融機関が抱え巨万不良資産。それを最大「7」千億ドルの公的資金で買い取る策に、国民の反発は強い。あとは自伝を書くだけの大統領と違い、選挙を控えた議員は風が気になる
儲け  もうけ
果て  はて
抱える かかえる
巨万  きょまん
不良  ふりょう
公的  こうてき
買い取る かいとる
反発  はんぱつ

危险的储蓄话题的结局是金融机关持有的巨额不良资产。国民强烈反对用最大达“7”千亿美元的公共资金来收购这些(不良资产)的方案。跟以后只是写写自传的总统不一样,等着选举的议员是很注意舆论的。

▼「下院議長は女性。ちょっと男性とはひと味違うような気がするリードが。それで破裂した」(笹川尭・自民党総務会長)の言はいただけない。危機は世界に飛び火しており、男とか女とか気楽論評している時ではない
一味    ひとあじ
気がする そのように感じられる。そのような気になる。「危ない気がする」「食べる気がしない
リード   lead
破裂    はれつ
笹川尭  ささがわ・あきら
言     こと
いただけない  評価できない。感心できない。 不赞成
飛び火  城门失火,殃及池鱼。事件の影響などが、無関係と思われるようなところにまで広がること。
論評   ろんぴょう

▼米国の対策が動くまでは神頼み。それもこれも、楽してもうけようとしたツケだろう。元来「7」は神々しい数とみえ、戒めにも使われる。例えば「七つの大罪」に強欲というのがある。
神頼み    かみだのみ
もうけ
ツケ
神々しい   かみがみしい  神圣的
戒め     いましめ
大罪     だいざい
強欲     ごうよく  贪婪

七つの大罪:傲慢 嫉妬 憤怒 怠惰 強欲 暴食 色欲

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2008-09-27 自笑平生为口忙

▼中国の宋代の大詩人、蘇軾は政治家でもあった。直言災いしてか、たびたび遠方流されたりした。詩の一節に「自ら笑う、平生、口の為になるを」と記している。「口がもとで数々の面倒を起こしたのが自分でもおかしい」という意味だと、中国文学の井波律子さんの著書に教わった
蘇軾    そしょく
直言    ちょくげん
癖      くせ
災いする  わざわいする
度度    たびたび
遠方    えんぽう
流す    ながす
平生    へいぜい
忙     ぼう
記する   きする
数々    かずかず
著書    ちょしょ
教わる   おそわる
井波律子 いなみ・りつこ

自笑平生为口忙,老来事业转荒唐

▼わが政界にも「口のために忙」な面々が目立っている。直言ならまだしも失言だから情けない一昨日は、就任したばかりの中山国交相が記者会見で「3連発」を放った
まだしも  勉强说得过去
失言    しつげん
情けない なさけない
一昨日  いっさくじつ
国交相  こっこうしょう
三連発  さんれんぱつ
放つ    はなつ


成田空港の整備の遅れには「ごね得というか戦後教育が悪かった」。観光について「日本は内向き単一民族」。さらには「日教組の子どもは成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」。言いたい放題の感がある
成田    なりた
整備    せいび
ごね得   ごねどく
内向き   うちむき
内向的   ないこうてき
単一    たんいつ


▼人生いろいろだが、失言にもいろいろある。リップサービスが過ぎた程度から、不適切な例え、軽率、勉強不足。だが今回のは日ごろの考えが噴き出してきたものだろう。は深い
リップサービス   lip server  门面话,漂亮话,奉承话
軽率         けいそつ
日頃         ひごろ    平时
噴出す       ふきだす
根          ね


それにしてもと思う。国会論戦などの肝心なメッセージはさっぱり胸に届かず、失言や放言、漫談まがいばかり記憶に残る。これは政治家の劣化か。それとも政治に娯楽を見いだした我々が、まじめな言葉には打てども響かなくなっているのか
それにしても  即使那样
論戦       ろんせん
肝心       かんじん
さっぱり     さっぱり
胸に届かず  没让人明白
放言       ほうげん
まがい
劣化      れっか
見出す     みいだす  見つけ出す、発見する


おりしも、その「政治劇場」の支配人だった小泉元首相が政界引退を表明した。こちらも「自民党をぶっ壊す」に始まり、良くも悪くも「口のために忙」な人だった。小泉流には毀誉褒貶が入り交じるが、資質さえ疑われる中山流は「誉」と「褒」から程遠い。
折りしも  おりしも   ちょうどその時。
毀誉褒貶    きよほうへん


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トキについて見聞きするたびに、朱鷺つづる字の美しさと、ニッポニア・ニッポンと呼ぶ学名おおらかさを思う。最後の生息地で知られた佐渡風物相まって、その立ち姿、飛ぶ姿の残像は、そこはかとない郷愁を胸に誘う
見聞き        みきき
綴る         つづる  書き表す
ニッポニア・ニッポン   Nipponia nippon
学名         がくめい
大らか       おおらか   落落大方
生息地       せいそくち
佐渡        さど
風物        ふうぶつ
相俟って      あいまって  いくつかの要素が重なり合って。互いに作用し合って。一緒になって。
立ち姿       たちすがた 立っている姿; 舞いをする姿。
残像        ざんぞう
そこはかとない  说不出的、难以言述的
郷愁        きょうしゅう


▼古くは日本書紀に「桃花鳥」の名で登場する。だが、その薄桃色の美しい羽が災いした乱獲されて明治以降みるみる減った。開発にも追われた。保護の声が高まったときはすでに遅く、日本のトキは5年前に絶滅した
桃花鳥   とき
薄桃色   うすももいろ
災いする  わざわいする  それが原因となって悪い結果を招く。
乱獲    らんかく
見る見る  みるみる     眼看着;急剧地
絶滅    ぜつめつ


▼その佐渡の空へ、きのうトキが放たれた。中国生まれの親から人工繁殖で増やされたうちの10羽である。日本のトキは81年、保護のためにすべて捕獲されたから、飛翔する姿は27年ぶりになる
人工繁殖   じんこうはんしょく
捕獲      ほかく
飛翔      ひしょう


▼〈今日からは日本の雁ぞ楽に寝よ〉。一茶の句の雁をトキに置き換えてやりたいが、生きる環境は前より厳しいと聞く。は減り、山間部にも道路が延びた。雪深い冬も来る。無事に生き延びられるかどうか専門家にも分からないそうだ
雁       かり
一茶     いっさ
置き換える おきかえる
田       た
山間部    さんかんぶ
生き延びる いきのびる


▼日本のトキは1960年、世界で13種目の国際保護鳥に指定された。尽力した一人が、「日本野鳥の会」をつくった僧侶で作家の中西悟堂だった。鳥を守ることは日本の山河を守ることだと説き、「野の鳥は野に」の自然観を唱えた人だ
保護鳥     ほごちょう
尽力      じんりょく
野鳥      やちょう
僧侶      そうりょ
中西悟堂   なかにし・ごどう
山河      さんが
説く       とく
唱える     となえる


▼だが悲運にも国産は死に絶え、放たれた籠育ちは「野の鳥」に戻れるかどうか案じられている。人間が山河を守ってこなかったツケなのかもしれない。唯一の武器は「臆病なこと」という優しい鳥だという。佐渡の四季の風物に再びなる日が、いつか来ればいい。
悲運     ひうん
放つ     はなつ
籠育ち    かごそだち
案ずる    あんずる   心配する
臆病     おくびょう



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2008-09-25

今季限りで勇退するプロ野球の王貞治監督は、選手時代にホームランの「世界記録」を打ち立てて国民栄誉賞の第1号に輝いた。その賞をつくって贈ったのは当時の福田赳夫首相である
今季     こんき
王貞治   おうさだはる
ホームラン home run 本垒打
打ち立てる 物事をしっかりと定める。確立する。


▼「支持率最低内閣の人気取り」と皮肉も聞かれたが、ふさわしい人が第1号になったと思ったものだ。だが支持率の大勢は動かなかった。赳夫氏は翌年、「天の声にも変な声がある」と言い残して辞任する
人気取り  世間や周囲の人気を得ようとすること。また、それが巧みな人。 为获取人气而采取的行动
大勢    たいせい
虽然听到“
(这是)支持率最低的内阁为获取人气的行动”的讽刺话,但(王贞治)的确是名副其实。可虽然如此,支持率的大局并未改变。赳夫于翌年留下“天声也有错”的话辞去首相一职。

月日は流れて、同じく不人気にあえいだ息子の康夫氏が昨日、「あなたと違うんです」を置きみやげに首相を辞めた。捨てぜりふのうまい役者が良い役者、と言ったのは歌舞伎の名優六代目菊五郎だった。康夫氏はむしろ役者の素質に恵まれていたのかもしれない
月日     つきひ  過ぎていく時間。時日。としつき。
同じく    列举同样的事物。
 「入選A、同じくB」
喘ぐ     あえぐ  重圧や貧困などに苦しみ悩む。
置き土産  おきみやげ 立ち去るときに贈り物として残しておく品物。
捨て台詞  すてぜりふ 立ち去ろうとするとき、相手の返答を求めないで一方的に言い放つ言葉。
恵む     めぐむ
记者招待会。记者问,你这样辞职是不是对国民不负责任。康夫同学答:我跟你不一样,有好好考虑过,是对国民负责的。

▼そして発足した麻生新政権には、失礼ながら落語の「桜鯛」が思い浮かぶ。鯛の塩焼きに一箸つけた殿様が、「かわりの鯛を持て」と所望する。困った家来は殿様の目を満開の桜に向けさせ、そのすきに鯛を裏返し、箸のを隠して新しい鯛に見せかける
家来   けらい 家臣。従者。
隙    すき   あいた時間。
満開   まんかい
跡    あと


▼新閣僚の顔ぶれは、昨日までの鯛が、ただ裏返しにされてにのった印象だ。3年前の選挙で選ばれた与党だから古さも隠せない。もう一度民意の海を泳いで釣られなくては、少なくとも新鮮な鯛には変われまい
顔触れ   かおぶれ
膳      ぜん 这膳可不是吃的东西,是餐桌。

▼麻生氏は昨日、いまを「平時じゃなくて乱世みたい」と表現した。与党の手にも野党の手にも、夢の即効薬などないことぐらい、いまや誰もが感じている。飾り立てた巧言ではなく、どちらがより率直な言葉を投げてくるか。民意の海はそれを注視している。
乱世     らんせい
即効薬   そっこうやく
飾り立てる かざりたてる  目立つようにはでに飾る。
率直    そっちょく
注視    ちゅうし


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天声人语(2008-09-24)

▼あまり話題にはならなかったようだが、去る13日は、とある猫が死んで100年の命日だった。ははん、とひらめく方もおられよう。あの有名な、名前のない、漱石の猫である
とある 某一个
閃く   ひらめく


▼『吾輩は猫である』はむろん小説だが、モデルになった猫は実際にいた。朝、物置かまどの上で冷たくなっていたそうだ。漱石はを庭に埋め、白木墓標に〈の下に稲妻起る宵あらん〉と、追悼一句したためている
無論  むろん  当然
物置  ものおき 杂物间
竈   かまど   灶台
骸   むくろ
白木  しらき
墓標  ぼひょう

此   こ
稲妻  いなずま
追悼  ついとう
一句  いっく
認める したためる  ①書き記す ②食事をする


▼明治ののころ、猫や犬がどれだけ飼われていたかは知らない。いまや空前のブームで、全国で実に2千万匹以上ともいう。ペットの売買やフードなど関連市場は1兆円を超すそうだから、堂々たる産業である
末      すえ
どれだけ  ①どのくらい ② どんなに多く
売買    ばいばい
たる     資格を表す


▼命多ければ死も多く、ペット葬祭業も増えているらしい。漱石は出入り車屋始末を頼んだ。1世紀の後、葬儀納骨から喪失感のケアまで手がける所も登場した。人がペットを擬人化し、パートナーの関係を深めている証しでもある
出入り  でいり   出入;金钱出入等
車屋   くるまや
始末   しまつ
葬儀   そうぎ
納骨   のうこつ
喪失感  そうしつかん
手がける てがける   亲自处理;亲自照顾
登場    とうじょう
擬人化  ぎじんか
深める  ふかめる
証し    あかし



▼その擬人化の、漱石は元祖である。猫好きに思われるが、そうでもなかったようだ。猫の吾輩は作中、「いかに珍重されなかったかは、今日に至るまで名前さえつけてくれないのでも分る」とぼやく。本物の猫も一生を名無しで終えた。付かず離れずが漱石流だったのだろう
元祖   がんそ
作中   さくちゅう  作品中
いかに  どのように;どれほど
珍重   ちんちょう
至る   いたる
名無し  ななし
ぼやく  发牢骚

当節はブームの一方で、腕時計を外すようにペットを捨てる人もいる。多くの猫や犬がガス室に送られるのを思えば、人間の身勝手さは同類として恥ずかしい。折しも動物愛護週間。名無しの猫が起こす稲妻と、怒りの声を、の下から聞くようにも思う。
当節    とうせつ   この時節。このごろ。当今。現今。
外す    はずす    身につけていたものをとる。
身勝手  みがって   自私。他人のことを考えず、自分の都合や利益だけを考えて行動すること。
折りしも  おりしも   ちょうどその時。
土     つち
怒り    いかり


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2008-09-23

▼〈勝負ごとの予想屋なら、商売にならないと投げ出したのではないか。消化試合と目された通りの戦いに勝って、福田康夫氏が「天下餅」を食うことになった。新しい自民党総裁は明日、戦後29人目の首相に選出される〉。1年前の明日、24日付の小欄の書き出しである
予想屋  競馬・競輪などで、自分が予想したいく通りかの的中番号を紙に書くなどして売る者。
天下餅  てんかもち


▼「手抜き」とお叱りを受けそうだが、名を麻生太郎氏に、を30人目に置き換えれば、そのまま使い回しができる。安倍晋三氏から数えれば3年続けてとなり、秋の彼岸の恒例行事さながら
手抜き    てぬき       しなければならない手続きや手間を故意に省くこと。
使い回す   つかいまわす  一つのものをいろいろに使う。

一足の靴をビジネス、レジャーにと使い回す  一双靴既可工作用也可休闲用。
一つのバッグを様々な用途に使い回す     把一个皮包用于各种各样的用途
秘書を使い回す                   任意支使秘书

数      かず
数える   かぞえる
彼岸    ひがん
恒例    こうれい
宛ら    さながら   宛如;非常によく似ているさま  《副詞「さ」+接続助詞「ながら」から》


▼だが、今年は違うことがある。同じ天下餅でも、とりあえず「三日天下」でしかない。遠からず総選挙の火ぶたが切って落とされる。麻生氏は敵将小沢一郎氏を呼び捨てに攻撃して、敵愾心を大いに燃やす
遠からず  [副]遠くない将来に。近いうちに。ほどなく。
火蓋     ひぶた
敵愾心   てきがいしん   敵に対して抱く憤りや、争おうとする意気込み。


べらんめえが売りだけに、弁舌小気味良い。時折勇み足人間味裏返しか、ただの軽率か。せんだっての朝日川柳、〈「バカヤロウ」までは言うなと茂祖父〉は笑わせた。危なっかしさが、この人の色気なのかもしれない
べらんめえ  混蛋
弁舌      べんぜつ  口才、辩才;ものを言うこと。また、ものの言い方。話しぶり。
小気味    こきみ    心情  
小気味が良い・悪い
時折      ときおり   時々、時たま
勇み足    いさみあし  (来源于相扑)因得意忘形而失败
人間味    にんげんみ 人間としての豊かな情緒。また、人間らしい思いやりや、やさしさ。人情味。
裏返す    うらかえす   表と裏とを逆にする;物事を逆の立場から見る。
軽率      けいそつ
先達て     せんだって  さきごろ。先日。
危なっかしい          いかにも危ない感じがするさま。
色気      いろけ


奇しくも昨日は、その祖父、吉田茂元首相の生誕130年だったそうだ。選出後の壇上で麻生氏自らが披露した。「民主党に勝って初めて天命を果たせる」と語る声は、党とともに祖父への誓いにも聞こえた
奇しくも    くしくも    偶然にも。不思議にも。  《形容詞「くし」の連用形+係助詞「も」から》
壇上     だんじょう


かくて両党の「選挙の顔」は出そろい、政治の季節の幕は開いた。「いい顔が推薦状なら、いい心は信用状」と格言に言う。党の心ともいえる「マニフェスト(政権公約)」にそれぞれ何を盛るのか。「いい顔」も大事だが「いい心」を欠いては、有権者の心はつかめない。
斯くて     かくて  前に述べた事柄を受けて、あとの事柄が起こり、あるいは、あとの事柄に移っていくことを表す。こうして。このようにして。かくして。
出揃う    でそろう      出るはずのものが全部その場に出る。
マニフェスト manifesto   宣言。声明。宣言書。
推薦状   すいせんじょう
信用状    しんようじょう
格言     かくげん
盛る     もる


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2008-09-21 金正日

▼『ユダヤ・ジョーク集』(講談社)に、ヒトラー占星術師死期を問う話がある。ユダヤ人の祭りの日だと聞いた総統、該当する日の護衛を100倍にせよと命じる。「安心はできません」と占師。「いつお亡くなりになっても、それが祭日になります」
ユダヤ    (ラテン)Judaea
ヒトラー   Adolf Hitler
占星術師  せんせいじゅつ・し
護衛     ごえい
命じる    めいじる
占師     うらないし
祭日     さいじつ


スターリンは暗殺を恐れ、そっくり影武者を用意していたという。独裁者の孤独は底なしだ。勝手を重ねるたびに敵が増え、疑心暗鬼群がる側近身内も信じられず、やがて占師のご託宣仰ぐ日が訪れる
スターリン  Iosif Vissarionovich Stalin
そっくり    欠けることのないさま。そのまま。残らず。全部。
影武者    かげむしゃ
独裁者    どくさいしゃ
孤独     こどく
底なし    そこなし
疑心     ぎしん
暗鬼     あんき
群がる    むらがる
側近     そっきん
身内     みうち
やがて    不久;到底、毕竟……就
ご託宣    ごたくせん         神託。
仰ぐ     あおぐ
訪れる    おとずれる    訪問する。

越是恣意妄为越是敌影重重。疑心生暗鬼。

▼この人は今、誰とどんな話をしているのだろう。北朝鮮の金正日総書記に健康不安説が流れている。脳卒中で倒れたとの見方もっぱらだが、かの国のこと、突然にこやかに現れるかもしれない。他方、「本物」は数年前から公の場に出ていないといった憶測もにぎやかだ
金正日   キム・ジョンイル
総書記   そうしょき
脳卒中   のうそつちゅう
見方    看法、见解
専ら    もっぱら    以……为主,主要集中在
彼の    かの   この
他方    たほう
公の場   こうのば
憶測    おくそく


情報鎖国小穴から漏れ伝わってくる「金王朝」の後継問題。権力の移行があるのなら、混乱はどれほどで収まり、核や拉致の懸案はどう転ぶのか。「たら」と「れば」でつなぐ見通しは堂々巡りとなる
情報鎖国   じょうほうさこく
小穴      おあな
金王朝    きんおうちょう
後継      こうけい
収まる     おさまる
懸案      けんあん
転ぶ      ころぶ
繋ぐ      つなぐ

堂々巡り   どうどうめぐり   来回兜圈子

▼早大教授の重村智計氏は近著『金正日の正体』で、総書記は思想家マキャベリの「君主論」に従ってきたと説く。例えば〈愛されるよりも恐れられる方がはるかに安全である〉の教えだ
重村智計  しげむら・ともかず
近著     きんちょ
正体     しょうたい
マキヤべり Niccol di Bernardo Machiavelli   马基雅维利
君主論   くんしゅろん
説く     とく


▼遅かれ早かれ、恐怖支配の悪運尽きる気がかりは、世界の実相も知らされず、飢え密告におびえる民衆のことである。独裁者たちは、の運命に民を巻き込むのが常。一朝ことあれば生身の2千万人がに放り込まれると、心にとめておく。
恐怖      きょうふ
悪運      あくうん
尽きる     つきる
気がかり   どうなるかと不安で、心から離れないこと
実相      じっそう
飢え      うえ
密告      みっこく
民衆      みんしゅう
己       おのれ
一朝      いっちょう
嵐       あらし



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2008-09-09

▼先ごろ小欄で触れた哲学者の和辻哲郎は、日本の風土の特徴として「湿気」を重く見た。朝霧や夕靄、たなびく霞など、湿潤な大気の濃淡は、日本人の情緒に深く結びついてきたと考察している
和辻哲郎  わつじ・てつろう    風土     ふうど     特徴     とくちょう
湿気     しっき          朝霧     あさぎり    夕靄     ゆうもや
霞      かすみ          湿潤     しつじゅん  大気     たいき
濃淡     のうたん        情緒     じょうちょ   結ぶ     むすぶ
考察     こうさつ        棚引く    たなびく    (烟)拖得很长;(云霞)轻飘,飘忽


▼霧の中から現れる川舟。おぼろに潤む月――。ものの輪郭をぼかす湿潤は、季節季節に日本人の琴線をかき鳴らしてきた。とはいえ、暑い季節の湿気は風雅とはいかない。このところ列島には湿った空気が流れ込み、関東以西は蒸し暑さが居座っていた

霧      きり         現れる   あらわれる   川舟    かわふね
朧      おぼろ       潤む    うるむ      居座る   いすわる
輪郭    りんかく       琴線    きんせん    風雅    ふうが
列島    れっとう       湿る    しめる      以西    いせい
暈す    ぼかす        かき鳴らす かきならす


▼しっとりなら風情だが、じっとりは不快である。その天候が昨日から変わった。大陸の高気圧が乾いた空気を連れてきた。まだ真夏日の所もあるが、物陰は涼しく、心なしか空も高い
風情    ふぜい       不快    ふかい      天候    てんこう
大陸    たいりく       高気圧   こうきあつ   乾く     かわく
真夏日   まなつび      物陰    ものかげ    
しっとり   潮湿,湿润,滋润,沉静
じっとり   潮湿,湿淋淋
心なし   也许是心理作用,觉得,似乎,好象 

▼〈夏と秋とゆきかふ空のかよひぢはかたへ涼しき風や吹くらむ〉と古今和歌集にある。二つの季節が行き交う空を「ゆきあいの空」と呼ぶ。体ひとつで暑さに耐えるしかなかった古人は、秋が夏を追いやる日を待ち焦がれたことだろう
古今和歌集    ここんわかしゅう   行き交う      ゆきかう       行き合い  ゆきあい
耐える       たえる         待ち焦がれる   まちこがれる    追いやる   赶走、驱走


▼『徒然草』の兼好法師は、季節の推移に万物の流れる姿を見た。〈春暮れてのち夏になり、夏果てて秋の来るにはあらず。春はやがて夏の気を催し、夏よりすでに秋は通い……〉。同様に、死はすでに生の中にひそんでいると、哲学的な思索もめぐらせる
徒然草      つれづれぐさ    推移       すいい    後        のち
兼好法師    けんこう・ほうし   万物       ばんぶつ   果てる     はてる
催す       もよおす       潜む       ひそむ    思索       しさく


▼さて人の世に目を転じれば、政界も、自民と民主の「ゆきあい」の風景だ。夏が生き残るか、秋が勝つか、天下分け目だろう。そして角界には、秋風どころか嵐が吹きすさぶ。事が事である。霞よろしく責任をぼかす逃げ技は今度ばかりは使いようもなかった。
転じる  てんじる    風景   ふうけい   角界   かっかい
嵐     あらし     技     わざ     
さて    一旦,果真,那么,就
分け目  区分点;分界限;(胜负,成败的)关键;关头

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2008-09-02

▼〈谷川に小さな学校がありました……さわやかな九月一日の朝でした〉と、宮沢賢治書き出す。夏休みが終わって子どもたちが登校してくる。そして教室の机に、赤い髪の転校生ぽつんと座っているのを見つける。山の子らは、突然やってきた都会風の転校生に驚いて泣き出してしまう――ご存じ『風の又三郎』の冒頭である。名作を思い出しながら、きのうの夏休み明け、突然いなくなる先生に泣く子はいなかったかと心配した。こちらは大分県の学校の話だ
谷川    たにがわ
岸     きし
爽やか  さわやか
宮沢賢治 みやざわ・けんじ
書き出す かきだす
登校    とうこう
転校生   てんこうせい
ぽつん   =ぽつり    それだけ孤立しているさま。 孤零零地
やってくる こちらに向かってくる。
都会風   とかいふう
泣き出す  なきだす
ご存知   如你所知的
冒頭    ぼうとう
明け    あけ   ある時期・季節が終わること。


▼この春から教壇に立っている21人が、不正に合格したとして採用を取り消される。うち1人はすでに、夏休み中に辞職した。ショックを受けた子もいるだろう。さわやかさとは程遠い2学期の始まりである
教壇    きょうだん
不正    ふせい
うち一人  其中一人
辞職    じしょく
程遠い   ほどとおい 距離・時間などの隔たりが大きい。

这就是远远说不上“爽朗”的第二学期的开始。

▼去った担任に、ある児童が「またこの学校に帰ってくるもんね」と手紙を書いたと聞いて、胸が痛む。自主退職は明日が期限だが、だれも自分では口利きを知らなかったという。周囲と教委の罪は小さくはない
担任    たんにん  班主任
痛む    いたむ
口利き   くちきき   間に立って紹介や世話をすること。また、その人。

听说有孩子给离开的班主任写信问“还会回学校吗?”的时候,心都痛了。
谁都说自己不知道中间人介绍(进行贿赂)的事。


▼9月1日の教室には、夏と秋がゆきあうような、不思議な空気がある。子ども心にも夏の終わりは寂しい。そんな感傷を先生の姿と声が断ち切って、新しい学期への意欲がさざめき出す。子どもの季節を回すのに、先生はなくてはならない存在だろう
行き逢う  ゆきあう
感傷    かんしょう
断ち切る  たちきる
さざめく   大勢の人が、にぎやかに音や声を立てて騒ぐ。

9月1日的教室里,弥漫着如同夏秋之交一般不可思议的气氛。在孩子们的心里正因夏天的结束而寂寞,而老师的身姿和声音就切断了那样的感伤,在喧闹中引发孩子们对新学期的向往。孩子们的季节轮回,老师是必不可少的存在吧。

▼『風の又三郎』の先生も、〈むかしから秋は一番からだもこころもひきしまって、勉強のできる時〉だと話して、季節を回した。不正のウミを出し切りつつ、子どもたちへの影響を最小限にとどめる。県教委に課せられた前代未聞の宿題である。
膿      うみ
課す     かす
前代未聞  ぜんだいみもん


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しばしば

天声人語2008-09-01
「何十年も住んでいるが、こんなのは初めて」と、被災した人はしばしば口にする。

[たびたび]屡次,每每;[しょっちゅう]常常;[何度も]再三.
  しばしば雨が降る         /常常下雨.
  しばしば忠告したがきかない  /再三劝告,可是不听.
  彼に騙されたことはしばしばある/屡次受他骗.
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2008-09-01 防災の日

▼東京の下町谷中には広い墓地がある。昨年亡くなった日本文学研究者のエドワード・サイデンステッカーさんはその散策を好んだ。散策するうち、あることに気づく。〈大正十二年九月一日と昭和二十年三月十日に死んだ人々の墓がいかに多いか〉と、随筆集『谷中、花と墓地』(みすず書房)に書き残 している
下町     したまち
谷中     やなか
墓地     ぼち
散策     さんさく
気づく    きづく
如何に   いかに   程度などについて推量する気持ちを表す。
書き残す  書いてあとに残す。


前者関東大震災後者東京大空襲なのは言うまでもない。片や天災、片や戦災の違いはあるが、どちらも東京を包み壊滅的な被害をもたらした。その天災から85年経ち、きょうは「防災の日」である
前者       ぜんしゃ
後者       こうしゃ
天災       てんさい
戦災       せんさい
炎         ほのお
包む       つつむ
齎す       もたらす
防災       ぼうさい
壊滅的     かいめつてき
関東大震災   1923年9月1日11時58分32秒  神奈川県相模湾北西沖80km(北緯35.1度、東経139.5度)を震源として発生した海溝型の大地震(関東地震)による災害。東京都・神奈川県・千葉県・静岡県の南関東地方の広い範囲に甚大な被害をもたらした。
東京大空襲   東京は1944年11月14日以降に106回の空襲を受けたが「東京大空襲」と言った場合、特に規模が大きい1945年(昭和20年)3月10日に行われた空襲を指すことが多い。
  这个……难道不是他们自己招来的吗???

▼天災は忘れたころにやって来る、と戒めに言う。だが、このところの列島は、忘れる暇もないほどに、地震、竜巻、水害――と見舞われ通しの感がある。数日前も東海や関東が記録的豪雨襲われた
戒める    いましめる
竜巻     たつまき
見舞う    みまう
数日前   すうじつまえ
記録的   きろくてき  创记录的
豪雨     ごうう
襲う     おそう

当你忘的时候,天灾就来了——戒言如是说。

▼「何十年も住んでいるが、こんなのは初めて」と、被災した人はしばしば口にする。きのうまでの無事も、きょうの安全を保証してはくれない。自然はときに、想像を超える無慈悲我々むく
しばしば   しきりに瞬きをするさま
口にする   言葉に出して言う。
保証     ほしょう
時に     ときに    偶に
無慈悲    むじひ
牙       きば  犬齿
我々     われわれ
剥く      むく  皮・殻など表面・外側をおおっている物を取り去って中身を出す。
牙を剥く   敵意を露骨に表す

就算到昨天为止都安然无事,也不能保证今天能安全渡过。自然总是时不时地,向我们张开超乎想像地冷酷无情的獠牙。

▼世界でも、中国四川省の大地震、ミャンマーサイクロンと大災害が相次いだそのせいもあってか、本紙の読者アンケートでは、いつになく防災意識が高まっている。「他人事ではない」が、昨今のキーワードらしい
ミャンマー  Myanma   缅甸
サイクロン  cyclone  熱帯低気圧のうちインド洋北部・インド洋南部・太平洋南部で発生するものである
相次ぐ    あいつぐ  物事があとからあとから続いて起こる。
他人事    ひとごと
何時にない いつもと違っている。普段のようではない。
是由于这个原因吧,在本报的读者问卷调查中,一反常态地防灾意思正在得到提高。

▼関東大震災の後には、「この際だから」が流行語になったという。諸事見直したり、改めたりする枕詞のように語られたそうだ。夏が過ぎ、台風の季節はもって本番。この際だから、身近な防災策を見直して、万が一に備えるとする。
この際だから     趁此时机
諸事          しょじ
見直す         みなおす
改める         あらためる
枕詞          まくらことば  开场白
もって         事の行われる時を示す。
身近          みぢか
万が一        まんがいち
据说关东大震灾后,“因为这个时候”成了流行语。据说经常用于“重审诸事,改变(不良)”时的开场白。

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2008-08-29  置いてけ堀

▼釣れた釣れた、さあ帰ろうという時に、水の底から「置いてけ~置いてけ~」の声。江戸に伝わる「置いてけ堀」だ。霞が関村の農水堀にも、昨年来、通りすがりの政治家があれこれと置いていった。地位に名誉、将来まで。あの声がまた、聞こえてきた
底       そこ    置いてけ堀  おいてけぼり    霞ヶ関村   かすみ・が・せき・むら
名誉     めいよ   農水堀    のうすい・ほり 

钓着钓着,就在要回去的时候,水底传来了“放着~放着~”的声音。这就是从江户时代流传下来的“置いてけ渠”。在霞关村的农水渠,近年来也有路过的政治家处于这样那样的状态。从地位到名誉、甚至将来。那样的声音,还能听到。

▼農水相、太田誠一氏の政治団体が、家賃入らずの秘書宅を「主たる事務所」と届け出て、事務所費や人件費を計上していた。この支出に実体があるかどうかが問われている。氏を「育てる会」なる団体は、実のところ、どれほ ど育てたのか

農水相    のうすいしょう    大田誠一   おおた・せいいち
秘書宅    ひしょ・たく      主たる    しゅたる   計上      けいじょう
支出      ししゅつ       実体      じったい  団体      だんたい

农水相太田诚一的政治团体,将不必要的秘书住宅作为“主要的事务所”申报、事务所费和人事费也列入其中。现在正在追究这个支出实际上是否存在。太田氏变成“养育会”的团体,实际上,养到过什么程度呢?

▼農水相といえば、安倍内閣で「政治とカネ」の鬼門だった。事務所費にしても、多くの政治家が釈明に追われた因縁の費目だ。それを踏まえたはずの、改造内閣の身辺調査。ザルどころか真ん中に大穴である。残り少ない信頼の水が、音を立ててこぼれている
安倍      あべ     鬼門      きもん   釈明      しゃくめい
因縁      いんねん  費目      ひもく    身辺      しんぺん
大穴      おおあな  毀れる     こぼれる

说到农水相的话,是安倍内阁“政治和金钱”的忌讳。即使是事务所费,也是很多政治家追加说明的理由的经费项目。应该立足于此,进行改造内阁的周边调查。笸箩哪里都是大窟窿。残存的少许信赖之水,也被出现的声音毁掉了。

▼この際、太田氏は堂々と領収書を示し、歯切れよく説明してほしい。口が重い人ではない。中国製ギョーザの中毒事件では「消費者がやかましいから(国内対策を)徹底していく」と言い放った。そう、国民は政治家のカネ繰りにも余計な関心を寄せる、いや、やかましい
堂々     どうどう    領収書    りょうしゅうしょ  歯切れ    はぎれ
言い放つ  いいはなつ  金繰り かねぐり      余計     よけい
喧しい    やかましい

这时候,就想要太田氏堂堂正正地出示收据、清清楚楚地说明一下。(太田)并非寡言之人。他在中国制饺子的中毒事件中放言“消费者要从严彻底执行(国内对策)”。这样,国民只是被政治家寄予了筹款之余的关心,不,严格的……

▼耳を疑う「集団レイプをする人はまだ元気があっていい」は5年前。古傷の再録は本意ではないが、大臣という地位を得た後の「生傷」がいけない。選んだ人の眼力も怪しい
古傷     ふる・きず   再録     さいろく   大臣     だいじん
生傷     なまきず    眼力     がんりき  怪しい    あやしい

让人吃惊的“群奸犯还好好的”那事就在5年前。本意并非要揭旧伤疤,而是得了名为大臣的地位后的“新伤”是不对的。挑选的人的眼力很让人生疑。

▼「安心実現」内閣だという。民の心配ごとが山とある時、危機感を欠いた 「慢心失言」内閣では、有権者からおいてけぼりを食らうだろう。秋風に乗り、政権末期のにおいが漂う。
慢心失言   まんしん・しつげん  有権者     ゆうけんしゃ
秋風      あきかぜ        漂う       ただよう

说是“安心实现”的内阁。老百姓忧心如山时,欠缺危机感的“傲慢失言”的内阁中,从有权者开始不正在吃“置いてけ渠”吗?政权末期的味道乘着秋风飘散。
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