▼今日は「処暑」。暑さ収まる候とされる。なるほど、秋の風が吹き始め、熱波と雷雨が暴れた季節も出口が見えてきた。浅黒い子供たちが、観念して勉強机に向かう頃でもあろう。〈日焼顔見合ひてうまし氷水〉水原秋桜子
処暑   しょしょ     暑さ   あつさ    収まる  おさまる  暴れる あばれる
候    こう       熱波  ねっぱ    雷雨  らいう
浅黒い あさぐろい   日焼顔 ひやけがお 見合  みあい
氷水  こおりみず   水原秋桜子   すいばら・あきさくらこ

今天是“处暑”,暑气渐收的时候。果然,秋风开始吹了,热浪与雷雨肆虐的季节就要到头了。也是被晒成浅黑色的孩子们收心到书桌前学习的时候了吧。“与晒黑的脸正相平衡的美味冰水”(水原秋樱子)

▼かき氷というもの、久しく口にしていない。それでも、シロップの原色、脳天に走る稲妻と共に、小さな雪山を崩していく感触が蘇る。冷房の喫茶店ではなく、駄菓子屋の店先、炎天下の小景である
欠き氷  かきこおり   シロップ (オランダ) siroop  原色   げんしょく
脳天   のうてん     稲妻   いなずま        崩す   くずす
感触   かんしょく    蘇る   よみがえる       駄菓子 だがし
小景   しょうけい 

叫“刨冰”的东西,已经很久没有入口了。尽管如此,果子露的原色、伴随着在脑中一闪而过的闪电、如雪山崩塌的感觉还是复苏了。不是在有冷气的咖啡店中,而是在粗点心店的店头,一幅热暑天的小景。

▼枕草子の「あてなるもの」(上品なもの)の段に「削り氷にあまづら入れてあたらしき金椀に入れたる」とある。平安貴族は、つる草の甘い汁で食したらしい。清少納言が「上品」に分類した通り、保存に手間がかかる氷は貴重品だった
枕草子 まくらのそうし   削る    けずる   金椀    きんわん
食する   しょくする     手間    てま    貴重品   きちょうひん

在《枕草子・上品》篇中有“削冰入金碗”的描写。平安时期的贵族好像是饮用藤蔓植物的甜汁的。清少纳言把冰分类到“上品”,说明保存很费工夫的冰是贵重品。

▼別段の「星は」には、すばる、ひこぼし、ゆふづつと並ぶ。ゆふづつとは宵の明星、金星のことだ。明るい天体に目が向くようだが、「削り氷」食べ放題の星があると知れば、列記は別物になったかもしれない
昴    すばる     彦星   ひこぼし   夕星   ゆふづつ   宵  よい
明星  みょうじょう   向く   むく       列記   れっき    別物   べつもの
「明星」就是「金星」,不是“明亮的星星”。明星=金星=太白星  長庚=宵の明星 

在另外一篇《星》中,昴星团、牵牛星、长庚星并列。长庚星就是傍晚的金星。就像将目光投向明亮的天体一样,如果知道有随便吃刨冰吃到到的星球的话,列记可能就变成不同的东西了吧。

▼火星に水があることが、米国の探査機によって科学的に確かめられた。少なくとも氷の状態で大量に存在する。水は命の母という。遠い過去には、生命を育む海や川があったのだろうか。「生の痕跡」を求めて、火星探査はいよいよ佳境に入る
火星    かせい     探査機   たんさき    確かめる たしかめる
少なくとも  至少     育む    はぐくむ     生      しょう
佳境    かきょう    いよいよ  愈益;越发;真的;果真;到底;终于;紧要关头

在火星上有水的事情,已经由美国的探查机通过科学方法确定了。至少以冰的状态大量存在。水为生命之母。在很远的过去,是在海与河川中孕育生命的吧。探求“生命的痕迹”,火星探查渐入佳境。

▼大宇宙の悠久の営みは、命を紡ぎ出せる環境を至る所に用意したはずだ。それがご近所にもあったと分かれば、銀河の孤独はいくらか癒やされる。残暑の夕刻、赤い惑星に「夏日星」の字をあてた先人を思いながら、納めの氷水にさじを運ぶのもいい。
悠久    ゆうきゅう      営む    いとなむ   紡ぐ    つむぐ
至る    いたる        銀河    ぎんが    天の川   あまのがわ
孤独    こどく        幾らか   いくらか    残暑    ざんしょ
夕刻    ゆうこく       夏日星   なつひぼし  当てる   あてる
納め    おさめ        匙     さじ      運ぶ    はこぶ

大宇宙悠久的历史中, 应该已经准备了到达有能孕育生命的环境的地方。如果知道附近也有(这样的地方)的话,就可以聊慰人类在宇宙中的孤独了。在入秋后的傍晚,想起给红色行星冠以“夏日之星”之名的先人时,拿勺子挖挖最后的刨冰也不错。