伝承・逸話 でんしょう・いつわ
大蒜に纏わる伝承は世界各地に伝えられている。独特の香気は香辛料として用いられるほか、魔除けとしても用いられてきた。
纏わる まつわる 独特 どくとく 香気 こうき 魔除け まよけ
古代エジプト Egypt
古代エジプトではピラミッドの建設の際、労働者に玉葱やラディッシュとともにニンニクが与えられた。古代ギリシアでも徴集の際に兵士が持参する食料品の一つとして数えられている。
ピラミッド pyramid 建設 けんせつ 徴集 ちょうしゅう
兵士 へいし 持参 じさん 数える かぞえる
玉葱 たまねぎ 洋葱
ラディッシュ radish 小萝卜
朝鮮神話
高麗時代に生まれた古代朝鮮の建国神話である檀君神話では、天界より地上に降臨した桓因(帝釈天の異名)の子桓雄(ファンウン)に「人間になりたい」と訴えた虎と熊に対し、桓雄はヨモギ一握りとニンニク20個を与え、洞窟の中でこれを食べて100日間修行するよう命じたとされている(檀君朝鮮の『三国遺事』の項参照)。
高麗 こうらい 檀君 だんくん 天界 てんかい
地上 ちじょう 降臨 こうりん 帝釈天 たいしゃくてん
異名 いめい 訴える うったえる 虎 とら
熊 くま 蓬 ヨモギ 艾,艾蒿 一握り ひとにぎり
洞窟 こうくつ 修行 しゅぎょう 命じる めいじる
遺事 いじ
ドラキュラ Dracula
吸血鬼ドラキュラがニンニクを嫌うというのは有名な話である
日本神話
日本では古事記の小碓命(ヤマトタケル)東征の逸話に、足柄山で白鹿に化けた坂の神を蒜で打ち殺したと記されている。同じエピソードが日本書紀では、信濃坂(現在の神坂峠)で白鹿に化けた山の神を蒜で打ち倒したところ、霧が立ちこめ道を見失ったが、白い犬が出てきて導いた。以前は旅人が信濃坂で神気に当たり病になることがあったが、この後蒜を嚼んで体に塗ると神気に当たらなくなったと記されている。ただし、この蒜はニンニクではなくノビル(野蒜)である可能性が高い。
ちなみに長野県にある昼神温泉は、この神話(蒜嚼み→昼神)にもとづく名前である。
東征 とうせい 足柄 あしがら 白鹿 しろしか
霧 きり 導く みちびく 旅人 たびびと
神気 かみき 記す しるす
エピソード episode [一連の事件の]一个事件、〔逸話〕轶事
源氏物語
源氏物語にもニンニクが登場する。第2帖帚木の巻で藤式部の丞が女性を訪ねたさい「極暑の薬草を用いて臭いので会えませんが、ご用は承りましょう」といわれた。そこで「ささがにのふるまひしるき夕暮れにひるますぐせと言うがあやなさ」と詠んだ。女性は「あうことの夜をし隔てぬ仲ならばひるまも何かまばゆらかまし」と返した(「ひる」が昼と蒜の掛け詞になっていて「極暑の薬草」が蒜だと判る)。
徳川家康
茶屋四郎次郎に招かれた徳川家康は、鯛の天ぷらにニンニクのすりおろし理を気に入り、食べ過ぎて食中毒を起こしてしまい死につながったとも言われる。
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