常用漢字2/1945「哀」

  [音]アイ(呉)(漢) [訓]あわれ あわれむ かなしい
1 せつなくて胸がつまる。

哀切哀絶哀然哀哀
哀痛哀悼哀惜哀慕
哀歓哀愁悲哀哀感哀詩哀話哀思
哀楽」⇒「喜怒哀楽」⇒「喜怒哀楽が激しい

哀情」⇒「歓楽極まりて哀情多し」
哀音」⇒「哀音悲調

哀調」⇒「哀調を帯びた旋律

哀別」⇒「哀別の情
哀婉」⇒「哀婉な恋情


哀史」⇒「吉野朝哀史」「女工哀史
哀傷」「哀歌」⇒「哀傷歌

哀艶」 美しさの中に悲しみの感じられるさま。
悲哀
 |-「幻滅の悲哀
 |-「人生の悲哀を感じる
 |-「サラリーマンの悲哀が漂う
2 かわいそうに思う。
哀憐哀憫
3 あわれっぽくする。泣きつく。
哀願哀訴哀求哀泣哀叫哀号哀哭哀咽

哀れ あわれ
一、[名]しみじみ心に染みる感動、また、そのような感情を表す。
1 (「憐れ」とも書く)強い心の動き。特に悲哀・哀憐の感情。不憫と思う気持ち。
人々の哀れを誘った
哀れをかける
そぞろ哀れを催す
哀れっぽい」 ⇒ 「哀れっぽさ
|-①哀れな感じを起こさせるさま。見るからに情けない。みすぼらしい。
 |-「哀れっぽい声で寄付を迫る
|-②他に対し、同情心を起こしやすい傾きにある。情にもろい。
2 かわいそうな状態。無惨な姿。
物哀れ怪可怜 なんとなくあわれであること。しみじみした感興を誘うこと。また、そのさま。
哀れを止める」  止める・とどめる
|-①悲しみや同情を一身に集める。「ここに哀れを止めしは」の形で説教節などに常套句として用いられた。
 |-「哀れを止めたのは帰らぬ飼い主を待つ犬の姿だった
|-②深い感動がいつまでも残る。
 |-「秋の夜の深さ哀れを止めけりよしのの月の明け方の空」〈新後撰・秋下〉  止め・とめ
3 底知れないような趣。情趣。物悲しさ。
物の哀れ
|-本居宣長が唱えた、平安時代の文芸理念・美的理念。
|-外界の事物に触れて起こるしみじみとした情感。
心なき身にも哀れは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ」〈新古今・秋上〉  鴫・しぎ
4 どうすることもできないような心の動き。感慨。
 「哀れ進みぬれば、やがて尼になりぬかし」〈源・帚木〉
5 しみじみとした情愛・人情。慈愛の気持ち。
子ゆゑにこそ、万の哀れは思ひ知らるれ」〈徒然・一四二〉    万・よろづ
二、[形動][ナリ]感動を起こさせる状況、しみじみ心を打つもののさまを広く表す。現在では、多く悲哀・哀憐の感情に限定される。
⇒[派生] あわれがる[動ラ五]あわれげ[形動]あわれさ[名]
1 (「憐れ」とも書く)かわいそうに思われるさま。気の毒だ。惨めだ。
その姿はいかにも哀れであった
2 しみじみともの悲しく感じるさま。はかなく、また、さびしく思われるさま。
夕暮れは、なんとなく哀れに思われてしかたがない
3 しみじみと心を打つ風情があるさま。趣があるさま。
 「滝の音、水の声哀れに聞こゆる所なり」〈宇津保・忠こそ〉
4 しみじみと心に染みて愛着を感じるさま。いとしいさま。かわいいさま。
 「なま心なく若やかなるけはひも哀れなれば」〈源・空蝉〉
5 しみじみとした愛情があるさま。優しいさま。
見る人も、いと哀れに忘るまじきさまにのみ語らふめれど」〈かげろふ・上〉
6 感服させられるさま。感心だ。殊勝だ。
 「哀れなるもの、孝ある人の子」〈枕・二九〉   孝・けう
7 尊く、ありがたいさま。
 「霊山は釈迦仏の御すみかなるが哀れなるなり」〈枕・二〇八〉  霊山・りゃうぜん
三、[感]
1 ものに感動したときに発する語。感嘆賞美の場合にも哀傷の場合にも用いる。ああ。
哀れ、あなおもしろ」〈古語拾遺〉
哀れあれをはしたなく言ひそむこそ、いとほしけれ」〈枕・八〉
2 願望の気持ちを表す。ぜひとも。
哀れ、よい所もあれかし」〈虎寛狂・今参〉
3 囃子詞(はやしことば)として用いる。
いで我が駒早く行きこせ待乳山哀れ待乳山」〈催馬楽・我が駒〉  待乳山・まつちやま


哀れむ あわれむ ⇒ 「哀れぶ・哀れみ」大概是古代的写法
1 かわいそうに思う。不憫に思う。 怜悯、怜惜、同情 ⇒[名]哀れみ
哀れむようなまなざし
同病あい哀れむ」   同病相怜
2 慈愛の心で接する。怜爱
幼いものを哀れむのは人情だ」 怜爱幼儿是人之常情
3 賞美する。めでる。あわれぶ。
月を哀れむ

悲しい = 哀しい・かなしい = 愛しい
⇒[派生] かなしがる[動ラ五]かなしげ[形動]かなしさ[名]かなしみ[名]
1 心が痛んで泣けてくるような気持ちである。嘆いても嘆ききれぬ気持ちだ。悲伤  反义词:「嬉しい」
友が死んで悲しい」。
2 人に1のような気持ちを起こさせる物事のさま。令人悲伤的
悲しい知らせ
悲しいメロディー
3 (愛しい)
①心に染みていとしい。かわいくてならない。
柵ごしに麦食む小馬のはつはつに相見し児らしあやに哀ししも」〈万・三五三七〉  柵・くへ
②心に染みておもしろい。強く心を引かれる。
あしひきの八つ峰(を)の雉鳴きとよむ朝明の霞見れば哀ししも」〈万・四一四九〉  雉・きぎし 朝明・あさけ 霞・かすみ
③すばらしい。みごとである。
哀しくせられたりとて、見あさみけるとなん」〈著聞集・一七〉

①しゃくにさわるさま。悔しい。
物も覚えぬ腐り女に、哀ししう言はれたる」〈宇治拾遺・七〉
②我慢できないほど恐ろしい。つらい。
先立つだにも哀しきぞかし」〈平家・三〉
③ひどく貧しい。
釜の下へたく物さへあらず。さても哀しき年の暮れや」〈浮・胸算用・三〉

哀しみ = 愛しみ

悲しむ
 = 哀しむ = 愛しむ ⇒「かなしぶ・かなしび」大概也是古代的写法
1 心が痛む思いだ。悲しく思う。また、なげかわしく思う。 反义词:「喜ぶ」
別れを悲しむ
道徳心の低下を悲しむ」 
⇒[名]「悲しみ・哀しみ・愛しみ」 悲しむこと。悲しい気持ちや心。悲嘆。
     |-「悲しみの色を浮かべる
     |-「悲しみに暮れる
2 (愛しむ)いとしいと思う。愛する。
端正美麗なる男子を産めば、父母これを悲しみ愛して」〈今昔・二六・五〉  端正・たんじゃう
⇒[名]「悲しみ・哀しみ・愛しみ」   (愛しみ)いとおしむこと。情愛。
     |-「末世の衆生に親子の悲しみ深きことを知らしめんがためなり」〈今昔・四・一〉
3 (愛しむ)深く感動する。
国王、これを見給ひて、悲しみ貴びて」〈今昔・九・一〉
4 嘆願する。
手をすり悲しめども」〈宇治拾遺・一〇〉

可哀相可哀想・かわいそう」
可怜的
同情の気持ちが起こるさま。ふびんに思えるさま。
かわいそうな境遇
彼ばかり責めてはかわいそうだ
おかわいそうに
可哀相な子ども」        可怜的孩子.
可哀相な話」          可怜〔凄惨〕的故事.
可哀相に思う」         觉得可怜.
まあ可哀相に」         呀,真可怜!
そんなに猫をいじめては可哀相だ」  那么欺侮小猫可太可怜了.